アレが再び私の目の前に姿を現した。

自分は即座に臨戦態勢へと移行、
標的を極端に刺激しないよう静かに、
しかし速やかに得物（ほうき）を手に持った。

大きさは前回対峙したアレよりは一回り小さい気がした。
・・・我が部屋にはアレが既に複数存在するという事か。

私は歯軋りしながらほうきを構える。

しかしどうする。
アレの大きさは前回よりは小さくともそれなりのサイズだ。

このまま考えなしにほうきで斃せば掃除が面倒くさくなる。

自分が考えを巡らせているうちに、
アレは位置を変えながらこちらの出方を伺っている（ように見えた）。

もたもたしている時間は無いようだ。
それにしても、
アレはなんでいつも攻撃しにくい場所に位置取るんだろう。
これも人類より長い歴史を生き抜いてきたDNAの成せる業か。

私は覚悟を決め、ほうきの他に新聞を装備して構えた。

と、その瞬間。

突如アレは尋常じゃない素早さで移動を開始し・・・
丁度目の前に置いてあった「ちり取り」の上に自ら乗っかったのだ。

・・・

その瞬間、私は一呼吸の間に窓を全開にし、
遠心力を利用してアレを勢いよく空の彼方へと放り投げた。

自分で言うのもなんだが、あっという間の出来事だった。
今回の行動がベストだったとは思わないが、
ひとまずアレの撃退には成功した。

暑い夏の出来事だった。


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